近年、よく耳にするようになったのが、このジストニアという病気です。氣志團のドラマー・白鳥雪之丞さんが職業性ジストニアであると発表したことでも、この病気が知られるようになりました。その主な症状は?原因は?また、気になる予防法についてなど、分かりやすく紹介します。
ジストニアとはどんな病気?
ジストニアとは、筋肉が収縮したり、異常な緊張状態になってしまったりする筋系の病気です。脳から筋肉へと指令を伝達する神経器官の異常とも言われています。生命に関わる病気ではありませんが、自分の意思によらず異常な動作・姿勢になり、日常生活に支障をきたす場合もあります。
人によって発症する部位は様々ですが、主な症状としては、
・首がねじれる、上下・左右に動く
・身体がねじれていく
・口や唇が不自然に動く
・まぶたが下がってくる
・鉛筆や箸などを持てなくなる、手先を使う仕事が出来なくなる
・声が出ない、出しにくい
といったことが起こる、非常に厄介な病気です。
ジストニアの原因
ジストニアの原因は「もともと発症する要素を持っていた一次性のもの(一次性ジストニア)」と、「外部要因のせいで起こる二次性のもの(二次性ジストニア)」に分類することが出来ます。
一次性ジストニアは、遺伝子の突然変異など、内部要因があり発症するものです。しかし具体的な原因は分かっておらず、あくまで遺伝子異常のある方に多い、というだけらしいです。
二次性ジストニアは、薬剤の副作用、脳を損傷するような怪我・事故が原因になっていることが多いそうです。
また、「職業性ジストニア」と呼ばれる、手先を使う職業に就いている人のかかる病気もあります。例えば、楽器を演奏する音楽家、作家・漫画家や塗装業などの専門職の人、ゴルファーやビリヤード選手のようなスポーツ選手は、ジストニアを生じる人が多いことで有名です。こういった専門的な職業の方の場合、手首の痙攣を訴える人が多く、「これまでどおり演奏できない、仕事が出来ない」という、深刻な問題が出てきます。
芸能人では、冒頭でも名前を挙げた氣志團の白鳥雪之丞さん、米米CLUBのサック奏者・フラッシュ金子さんがこの病気で仕事を行えない状態にあります。
ジストニアの治療法は?
このジストニアの一番の難点は、明確な治療法が解明されていないことです。特効薬のようなものはありませんが、薬物治療を行うことで多少なりとも症状は軽くなることが分かっています。
薬物治療の効かない患者さんには、筋肉にボツリヌス毒素を注入し、筋肉を麻痺させる治療が行われます。その他、海外では手術治療が行われるケースもあります。
しかし、ジストニアの治療の歴史自体がまだ浅く、限られた病院でしか治療が行えない現状にあります。
もちろん、病気を克服して完治された患者さんも大勢います。ただし、治療には時間がかかること、回復には個人差があることなど、まだまだ解明されるべき課題は多い病気です。
ジストニアの予防法
このジストニアの予防法というのも、今まだはっきりとは分かっていません。しかし、音楽家や専門職の方など、職業性ジストニアを発症しうる可能性のある方は、次のようなことに気をつけると有効であるという説があります。
・出来る限り指先、手先だけの筋肉にたよらず、腕や肩など大きな筋肉を使うようにする。
・ストレスを溜めない。(ジストニア発症には、心労による部分も大きく関わってきます)
・同じ動きばかりでなく、違う動きをする工夫を心がける。(指先のストレッチなども効果的)
これから更に研究が進み、ジストニアの治療や特効薬が出てくることを心から願っています。